今年度の開講科目

本研究室で開講している大学院の授業科目をご紹介します。

2020年度授業科目

2019年度以前の開講科目はこちらをご覧ください。

授業概要(シラバス)

生涯学習論基本研究Ⅱ(Theory of Lifelong Learning Ⅱ)

担当教員:牧野 篤

授業の目標・概要:
社会教育学・生涯学習論を学び、研究するための、院生各自の基本的な視点・研究の枠組み・方法論を形成するための基礎的な訓練とその発展を、文献の講読と検討およびフィールド調査によって、集団的に進める。今年度は、集中講義で行うため、講読ゼミが基本となる。今年は公民館とまちづくりをテーマにとりあげる。
文献研究の中心的なテーマは「公民館はどう語られてきたのか」「公民館をどう実践してゆくのか」とし、戦後に構想され、急速に社会に普及した社会教育・生涯学習の基本的かつ中心的施設である公民館のあり方や機能に対して、どのような議論がなされ、それがどのような社会的な要請を背景にしていたのか、その結果、公民館はどのように変容したのか、そしてそれはどう実践されてきていて、それを今度どう実践していくべきなのかをとらえ、社会教育・生涯学習の実践のあり方への理解を通して、教育・学習という営みと社会とのかかわりを理解する。

授業の計画:
社会教育学・生涯学習論を学び、研究するための基本的な「構え」の形成とその展開を促すために、社会教育学・生涯学習論とくに公民館に関する古典的な文献とともに、最新の研究成果をレビューする。さらに、フィールド調査を重ねることで、その応用を学ぶとともに、院生各自の基本的な研究の視点と枠組みを発展させることを支援する。調査報告書を作成することで、研究論文の書き方などを習得する。
基本的に文献講読を中心に進めるが、必要に応じてフィールド調査、ワークショップ、グループワークなどを行う。

教科書:
牧野篤『社会づくりとしての学び—信頼を贈りあい、当事者性を復活する運動』(東京大学出版会、2018年)。
牧野篤『公民館はどう語られてきたのか—小さな社会をたくさんつくる・1』(東京大学出版会、2018年)。
牧野篤『公民館をどう実践してゆくのか—小さな社会をたくさんつくる・2』(東京大学出版会、2019年)。
このほか、テーマにより、適宜紹介する。

生涯学習論特殊研究Ⅰ(Seminar in Lifelong Learning Ⅰ)

担当教員:新藤 浩伸

授業の目標・概要:生涯学習・社会教育研究の蓄積について学び、各人の研究の基盤とすることをめざす。

授業計画: 文献講読を中心に進める。

生涯学習論特殊研究Ⅱ(Seminar in Lifelong Learning Ⅱ)

担当教員:李 正連

授業の目標・概要:社会教育学・生涯学習論を学び、研究するための、院生各自の基本的な視点・研究の枠組み・方法論を形成するための基礎的な訓練とその発展を、文献の講読と検討およびフィールド調査によって、集団的に進める。

授業計画:社会教育学・生涯学習論を学び、研究するための基本的な「構え」の形成とその展開を促すために、社会教育学・生涯学習論に関する古典的な文献とともに、最新の研究成果をレビューする。

社会教育学・生涯学習論研究(Research on Adult Education and Lifelong Learning)

担当教員:久井 英輔

授業の目標・概要:新中間層に対する教育のまなざしという観点から近現代日本の社会教育の展開を考察することを通じて、これまでに提示されてきた社会教育の理念、実践を多様な角度から捉える視点を持つことを目指します。また、社会教育の歴史研究が実践的かつ学術的であるために求められる問題設定・分析視座について、受講者各自が深く理解することを目指します。

授業の計画
1.社会教育と階層研究の見取り図
2.生活改善と「中流」のための社会教育
3.社会改良主義と生活改善
4.「合理的消費者」と生活改善
5.生活改善における都市と農村
6.生活改善と雑誌メディアの受容者
7.戦後初期・高度成長期の新生活運動
8.生活学校と新生活運動
9.団地と戦後新中間層の共同性
10.社会教育(行政)の戦後構造
11.社会教育研究の下部構造
12.社会教育(史)研究における有用性と実践性
13.社会教育研究における実践的問題設定

教科書:受講者の発表準備に間に合うよう、下記の参考書またはその他の文献から適宜選択し、受講者に提示します。
・大門正克編『新生活運動と日本の戦後:敗戦から1970年代』日本経済評論社、2012年
・津田英二、久井英輔、鈴木眞理編『社会教育・生涯学習研究のすすめ:社会教育の研究を考える―(講座 転形期の社会教育6)』学文社、2015年
・久井英輔「社会教育研究における歴史的手法の「有用性」と「実践性」:カテゴリー、価値を相対化する知としてのあり方」『社会教育研究における方法論(日本の社会教育 第60集)』 2016年
・久井英輔「高度成長期における団地の社会教育と社会調査:都市住民における集団、共同性形成の契機に注がれた視線」『広島大学大学院教育学研究科紀要 第三部』第67巻、2018年
・久井英輔「戦後社会教育の制度枠組と「地域社会」「貧困」」『教育学研究』第85巻第4号、2018年
・久井英輔『近代日本の生活改善運動と〈中流〉の変容:社会教育の対象/主体への認識をめぐる歴史的考察』学文社、2019年

プログラム評価論(Theory and Methods of Evaluating Programs)

担当教員:安田 節之

授業の目標・概要:
教育機関や企業組織そして地域コミュニティには、対人援助・人材育成・組織開発・地域活性化などを目的とした多種多様な実践活動が存在する。これらの実践・介入活動に対して説明責任や科学的根拠(エビデンス)が求められる時代となっている。本授業では、様々な実践・介入活動をプログラムとして客観的に捉え、その結果や効果を評価し、活動の質向上につなげるための方法論を学ぶ。
プログラムの価値は、経済的指標などで捉えることが困難な個人や集団に対する教育的・心理的効果として現れることが多いため、社会調査・実験心理学・心理測定といった方法論との親和性が高い。この授業では、プログラムを客観化・可視化する手順をまず習得したうえで、具体例を通してプログラムを実証的に評価するための方法を学ぶ。

授業の計画:
1.イントロダクション
2.プログラム評価の目的と評価者・ステークホルダー
3.プログラムニーズの種類とアセスメントの方法
4.ゴールの明確化
5.インパクト理論
6.ロジックモデル
7.個人・グループ発表
8.評価可能性アセスメントと評価クエスチョン
9.アウトカム評価の概要と評価指標の作成
10.実験・準実験デザインによるアウトカム評価
11.プログラムの導入(インプリメンテーション)評価とプロセス評価
12.評価アプローチ①(社会科学・理論主導 他)
13.評価アプローチ②(実用重視・エンパワメント 他)
14.評価報告書・技術報告書(テクニカルレポート)の内容と作成方法
15.総括

教科書:安田節之 『ワードマップ プログラム評価:対人・コミュニティ援助の質を高めるために』新曜社,2011年

生涯学習論論文指導 (Dissertation Research in Lifelong Learning)

担当教員:牧野 篤、李 正連、新藤 浩伸

授業の目標・概要::博士論文・修士論文をはじめとして、社会教育・生涯学習関連の研究論文を作成するための、研究方法論検討及び執筆の指導を行う。 受講者による研究発表と相互の議論を通して、また先行研究の検討を通して、オリジナリティある論文執筆のあり方について考える。 必要に応じて、個人指導・ゲストを囲む合評会などを考えたい。

授業計画: 院生諸君の必要に応じることを基本として、論文作成支援・論文作成指導を行う。個別指導と集団的な検討・討議を通して、各自が研究方法論を鍛えるとともに、論文作成へのモチベーションを高め、維持しつつ、質の高い論文とはどういうものであるのかというイメージを作り上げる支援を行う。とくに社会教育学・生涯学習論は、研究対象が広く、特定の研究方法に依拠して研究を進めることができないため、研究の課題意識や対象によって研究方法をつくり、また組み換える必要がある。特に近年、研究の設計において、起点となるべき「なぜ」が問われず、「何を」から着手する傾向が強くなっているが、研究を深めるためにも「なぜ」という問いを設定することの重要性を認識して欲しい。院生それぞれの研究に即して、検討を進める。